「小面」

 これは「龍右衛門」型の「小面」の
写しです。ほかに「越智」型の小面がありますが、それよりも小面らしい凹凸がハッキリして、雰囲気が出やすいのが特徴です。
     「若女」

「室町時代の「若い女」と呼ばれる面以外は、若女と言うと「河内家重」の型を指します.
 最近作です。
左から「小面」伝越智の写し
「増」是閑作写し
「泣き増」増阿弥作写し
       宝生ではどちらの増も泣き増と呼んでいます。左は一般に増と呼び、右は、如何にも泣き増と呼ぶに相応しい表情です。  

「孫次郎」

孫次郎と言えば「おもかげ」と呼ばれる型が殆どですが、友閑や筑後が制作した、横幅を少し広げてふっくらとさせた型も在ります。
 
  「増女」

これは増阿弥作の型です。彫が深く骨格がしっかりとして、情緒的な色香より、芯の強い女性を感じさせます。


「増女」

こちらは理知的な性格の強さよりも、情緒的で雅な女性の色気を感じさせます。是閑の型に見られる大きな特徴です。

  「曲見」

曲見は沢山の作家が手掛けていますが殆どが同じ型のもので、額の左側や頬の右下口の横に、沢山の写し傷を作っているのが特徴です。

 
   細部を写し取るのが大変でした。雰囲気を出すために、殆どの傷も再現しました。        深井・曲見は何度制作しても、雰囲気を取るのが難しい面です。泥眼は宝生流独特の右満の型です  
上の写真。左から「浮き木型般若写し」「河内型深井写し」 「河内型曲見写し」「右満型泥眼写し」

「山姥」


典型的な山姥はこの是閑の型のタイプと言えます。この山姥は山之内家にある是閑の作品の写しです。
  「痩女」

「氷見」作の「痩女」を参考にして、創作しました。型は氷見のものに近いのですが、あまりに角ばった感じが好ましくなかったので全体に少し柔らかい雰囲気に仕上げてみました。

「深井」

河内家重の型です。曲見と同じように中年の女性の面ですが、悲しげな情感はこちらの方が強いです。子供を亡くした母親の悲しみなどを表します。観世流でよく使います。
    「姥」

これは切通しの姥と呼ばれている型の姥です。姥は目の穴を切ってしまうので俯いた目の形になりますが、舞台の上では上を向くしぐさが重要になるので、悲哀に満ちて月を見るような表情が出るかがポイントになります。
 

  「舞姫」

喜多型の舞を舞う若い女性の面です。小面の造形に増女の気高さと品位を加えたような女面です。
    「橋姫」

宝生流で昭和38年に国の重要文化財の指定を受けているものの写しです。少し目の周りや口端の朱の色を抑え気味に写しましたが、鉄輪の演目にぴったりな迫力ある表情をしています。 

  「般若」

河内型の般若の写しです。
輪郭はシャープに引き締まって、女性の美しさを保ちながら、それでいて力強く嫉妬を内に秘めた般若と言えば河内型と頷ける表情をしています。
     「泥眼」

よくある河内型の泥眼ではなく、
ちょっと珍しい古元休型の泥眼です。細面で、特に顎がすっきりしています。猫の表情を思い出させるような不思議な眼差しで私の好きな型の一つです。

 「真蛇」

宝生流重要文化財の真蛇 の写しです。左右の造形の違いは見事に計算されたもので、彩色は朱と言うより臙脂の強い赤味の彩色です余りにも大きな造作は、あたかも滑稽にも見えますが、舞台では凄まじい表情を見せます。
  「近江女」

 観世型の近江女のつもりです。本面はまだ拝見していないのでちょっと不安はありますが、念の為に2面創作してみて、良い方を舞台で使って頂く事にしました無論道成寺の前シテです。
 

   「節木増」

重要文化財、天下の節木増です。写してみて分かったのですが、若女より幅が狭くて、やはり確かにこの面は増の面だと思いました。本当に見るたびに表情が変化して、写し取るのが困難な面です。
     「泥蛇」

珍しい泥蛇です。金泥の色が肉式に近くて、渋く抑えられています。頭の形も真蛇的でなくまるで骸骨のような生々しい頭蓋と描きをしています。創作に近いつもりで作りました。